Bill Evans

ジャズは人生の中心。最も重要なもの ビル・エヴァンス『TIME REMEMBERED』

こんにちは。てていです(@tetei_p

昨年、日本で公開されたビル・エヴァンスのドキュメンタリー映画『TIMEREMEMBERED』のお話です。

出典:映画.com

この映画、海外では2015年に公開されています。普段映画館に行くことはほぼないワタクシですが、どうしても観たくなり、とある土曜日の朝、公開最終日に行ってまいりました。

映画館が入っているビルの隣でスタバを買って、少し早めに向かったらすでに小さなロビーには大勢の人。
館内は3つのシアターがあり2つ目のシアターに案内される。キャパ約90人ほどの場内に入ると、もしかして私が一番若輩者??というぐらい年齢層は高め(50~60代ぐらい)
観客は少ないかなと思ってたけれど、やはりエヴァンスのファンは多いんですね~。
なんだか親近感

映画館、しかも単館(ミニシアター系)なんてほんと、どれだけぶり・・・。
大きな映画館よりもこういうこぢんまりとした所のほうが落ち着く。

映画はビル・エヴァンスの自伝的ストーリーに、彼にまつわる人々が証言者として登場します

主な出演者

主な出演者は、ビル・エヴァンス・トリオの初期メンバーだったドラムのポール・モチアン
(めちゃくちゃカッコイイ)『Waltz For Debby』のモデルとなった彼の姪、デビイ・エヴァンス、義姉のパット・エヴァンス、親交があったピアニストたちや作家といったアーティスト、エヴァンスに影響を受けたピアニストたち、歌手のトニー・ベネット、当時のマネージャーや音楽評論家などなど。
ポールはじめ、何人かの方々は現在もう亡くなっている方もおられるので、そういった意味でも貴重な映像なのかもしれません

Kind of Blue

マイルス・デイビスのバンドメンバーに選ばれたとき、一人白人だったエヴァンスは差別的扱いを受けつつも、新入りなのに自分をリーダーとして希望してみたり、それが叶わないのでバンドを脱退してしまったりと、まー才能のあるミュージシャンってすごいです。それだけ自分のピアノに自身があるからこその発言。

そのマイルス・デイビスもビル・エヴァンスを迎えて制作したあの『Kind of blue』に収録されている『Blue in Green』はエヴァンスが提供したにもかかわらず自分の作品だと豪語。証言したピアニスト、フランク・コレットは「あの人(マイルス)は人の作ったものをよく自分のものにしてたからね」っておいおいおいおいおい。
天下のマイルスデイビスってそういう人だったの?えー。

とはいえ『Kind of blue』は私も大好きなアルバムです。出演アーティストも豪華でウィントン・ケリー、キャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーンと、すごい面々。
現在も活躍中のピアニスト、エリック・リードに「時代を動かしたアルバム」と言わしめるほどの名盤です

累計セールスは1000万枚超。ジャズの枠を飛び越え、「20世紀が生んだ最も偉大なアルバム」のひとつにも数えられる

メンバーの事故死と恋人の不幸

『Waltz for Debby』の収録後、ビル・エヴァンス・トリオの初期メンバーで、ベーシストのスコット・ラファロが交通事故により、25歳の若さで亡くなってしまいます。エヴァンスは大きなショックを受け、しばらくピアノすら触れなくなってしまうんですね。その後も、エヴァンスは大切な人の死に直面していくことに。

ビル・エヴァンスは11年間、内縁関係にあったエレインという女性がいながらにして、ネネットという女性に出会いエレインに別れを告げてしまうんです。エヴァンスに陶酔していたエレインはショックのあまり、電車に身を投げてしまいます。

そのことにエヴァンスも大変なショックを受けたそうですが、結局はネネットと結婚、男児を儲けてその生活に心底幸せを感じたってちょっとちょっと。
それじゃ、エレインの立場はどーなるのよ。可哀そうすぎる・・・

生涯引きずってしまった悪癖

ビル・エヴァンスが51歳で亡くなってしまったその原因を遡ると、兵役時代に覚えてしまったドラッグ癖だったようです。どうしても止めることができずに、それがその後の生涯に大きく影響してしまうんですね

それまでポマードできっちり固めてオールバックにしていたヘアスタイルをやめ、薄い色のついた眼鏡をかけ、長髪にヒゲを生やすようになったのは、ドラッグでむくんだ顔と虫歯を隠す為だったと言われています。

1964年ごろの姿はこんな感じ

出典:Wikipedia

 

それから約10年後には

いやこれ同一人物ですか。きっと久しぶりに会った友人などに「どうしたの?」と言われていたかもしれませんねいや、間違いなく言われてるでしょう。エヴァンスだと気づかない人もいたかもしれない・・・生前後期のビル・エヴァンスが演奏している動画を見ると、彼の手がかなりむくんでしまっていることがよくわかります。

1965年、ロンドンでのライブ映像

 

1980年、亡くなる数カ月前のノルウェーでのライブ映像

 

ボロボロの体で演奏しようとする彼を、友人たちが何度も止めようとしたけれどエヴァンスはそれを拒否しつづけたそうです。

さらに絶対的に信頼していた最愛の兄が拳銃で自死してしまったことなども重なり、ドラッグを止めることはできなかったようですね

ドラッグ・飲酒・喫煙からくる肝臓の悪化は生前から本人も自覚していたことのようで、医師が治療、入院を勧めても断固拒否。亡くなる直前まで演奏しようとし続けた彼の生涯って、果たして幸せだったのかなー。でも、自分の体がどうなろうともやりたいことを貫き通して亡くなっていったのだから、自身にとっては幸せだったのかも。

「ジャズは人生の中心 最も重要なもの」

いろんな人を傷つけながらも、音楽に対してだけは誠実だったビル・エヴァンス。インタビューでは「Jazz is the most central and important thing in my life(ジャズは自分の人生の中心。最も重要なものだ)」と語っています。

映画の中で、ジャズ・ベーシストのゲイリー・ピーコックが「彼がジャズに与えた影響はこの先100年は続く」と言っていたのが、印象的でした。

だって、私のようなジャズに対して水たまりよりも浅い知識しかないまま、ただなんとなーく長年聴いてきたっていうような人間でさえも魅了していくビル・エヴァンスの魅力ってスゴイ。と改めて感じる映画でした。

 

 

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