こんにちは。てていです(@tetei_p)
2019年に厚生労働省より、それまでグレーゾーンとされていた薬剤師以外の者がピッキング業務を行うことについて、薬剤師の管理下にあれば資格のないものが行ってもよいという通達がありました。
調剤薬局事務員として勤務12年目に入った私が、ピッキングするときのコツや絶対やってはいけないことなどを、主に初心者の方へ向けてシェアしたいと思います
Contents
ピッキングってなに?
処方せんに書いてあるお薬を棚から取り出し、必要な数を集めることをいいます。間違った薬や、数のミスなど人の命に係わる責任ある作業であるのと同時に、膨大な種類のお薬の中から、薬の名前や保管場所の把握などある程度の『慣れ』が必要なお仕事です。
『PORIMS』の導入でラクになった?
- 湯山製作所より引用
『PORIMS』はピッキングの際にバーコード管理されたお薬にこの機器を当てると正誤を音で知らせてくれるというもの。先の通達以降、導入する薬局さんが増えているようです。作業の流れとしてはこんな感じです
- レセコン入力
- 入力したデータがPORIMSに送られる
- 該当患者の調剤録に記載されたバーコードをPORIMSで読み取る『ピッ!』
- 処方せんに記載されたお薬を棚から取り出し、バーコードをPORIMSで読み取る
(正解なら『ピッ!』間違いなら『ブブー!』と音が鳴ります) - お薬を必要数取り出し輪ゴムで留めていきます
- 全て集め終えたら『完了』ボタンを押す。出てきたジャーナル(取った記録紙)とお薬をカゴに入れ薬剤師に渡す
全て目視でやっていたころに比べて少し手間はかかりますが、正誤のチェックという意味ではかなり楽になったと思います

Let's see!


無駄な動きをしないためにやっておくこと
まずは薬の保管場所をある程度把握しておくのが不可欠。おおまかに分けるとこんな感じです
白地に赤枠赤字で表示しなければならないもの(劇薬)とそうでないもの、散剤、漢方薬、向精神薬など
軟膏や目薬、貼付剤、吸入薬など
処方せんに書いてある順番通りに取っていくのは取りこぼしがなく、正確です。最初はそれでもいいと思いますが、それだと実は相当無駄な動きが増えてしまい時間がかかってしまうのです。
本当は保管してある棚に沿って動いた方が格段に速くなります。
図で説明してみます。私の薬局ではこんな感じでお薬が並んでいるので、できれば左図の矢印のような動線が理想です。
処方せんどおりだと、右図のようにまず内服薬を先に取り劇薬との間を行ったり来たりすることになります。漢方があればそっちの棚へ行き、最後に貼付剤もしくは目薬や軟膏などの外用薬の棚へ行くという、とても悪い流れになってしまいます。
狭い場所でもあることから他のスタッフとの行き来の妨げにもなってしまいます
この動きができるためには、やはり薬の名前を見てこれは劇薬、これは向精神薬などがわかること。これには慣れと時間が必要です
1錠分の輪ゴムの留め方
- マグミット 1錠 寝る前 11日
こんな処方の場合、全部で11錠必要です。単純にPTP10錠+1錠ということになります。この1錠分を輪ゴムで留めるのって結構手間なんです。誤ってピョ~~ン!とどこかへ飛んでいってしまうこともあったり、留め方が甘いとその後の監査で外れてしまうなんてことも。この留め方だと実際に飲んでいただく患者さんにもわかりやすいのではないかと思います

※そもそも1錠という余分を出さない工夫をされてる薬局さんもあるかと思います。患者さんのことを考えると、1錠分は扱いづらいのでできるだけ避け、6錠+5錠にするなどが本来の理想です

ややこしい!漢方薬の数え方と最速で探せるワザ
- ツムラ葛根湯 7.5g 分3 7日
こんな処方の場合はこれが7シートあればOKですよね

では、これではどうでしょうか
- ツムラ当帰芍薬散 5g 分2 84日
すごくややこしくないですか。計算すると全部で420g必要です。1包2.5gx3包繋がったもの=7.5gを1シートとすれば、これが56シートあればいいわけです。
ツムラの漢方薬は、この3枚繋がったものが7シートで1束にくくられているので56を7で割ると8束あればいいということになります
ところでこの漢方薬、多種類あれば探すのがとっても大変です。一つ一つに番号はあるものの、ほとんどの処方せんには番号までは書かれていません。
これを最速で見つけるには、ツムラさんが公開している一覧表を活用。自薬局で置いているものだけにカスタマイズした方がより見やすくなると思います。50音順に並んでいるので速攻で探せます。
ツムラの漢方薬は下一ケタで色が統一されています。例えば1は水色で下一ケタが1であれば全て水色です
Let's see!

意外な落とし穴!貼付剤のピッキング
一見、簡単そうに思える貼付剤のピッキングですが一般名で書かれてある処方せんには、とてもまわりくどい記載方法がされています
例えば・・
- 【般】ロキソプロフェンNaテープ100mg(10x14非温)
この『非温』つまり温感ではない=普通の貼付剤ということになります。この温の字に惑わされないようにしてください。
レセコン入力でも貼付剤間違いの中で最もあるあるな事例です

絶対やってはいけないこと
これやると確実にミスります
『処方せん以外のものを見てピッキングする』
これは、事務員に限らず薬剤師や実習に来ている薬学生も必ず一度はやってしまいがち。
薬情やお薬手帳のシールなどは、一般名だけで書かれた処方せんとは違って見やすいものではありますが、レセコン入力が間違っている可能性もあるため、これだけに頼ってピッキングするのは絶対NGです。
とはいえ、一般名で書かれた処方せんだけでは薬の名前がわからない!!というときは、処方せんを優先にし、お薬手帳などを照らし合わせながらであればOKだと思います。
そうすることで入力間違いに気づくこともできます。
慣れない間は時間がかかると思いますが、常に『処方せんを見る』という癖をつけるようにしてください
結論=とにかく慣れる!場所を覚える!
一日も早く正確さとスピード感を得ようと思うならば、とにかく経験値を増やすこと。慣れれば、薬の名前を見ただけでそれがどの場所にあるのかがわかるようになってきます。
ですが『慣れ』は『思い込み』を生じやすくなりがち。常に処方せんの確認を行うようにしてください